特集
ウポポイ5周年 ~アイヌの世界と出会う場所~
掲載号:2025年7月号

アイヌ民族とウポポイ
アイヌ民族は日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族です。
日本語と系統の異なる「アイヌ語」をはじめ、自然界すべての物に魂が宿るとされている「精神文化」、祭りや家庭での行事などで踊られる「古式舞踊」、独特の「文様」による刺しゅう、木彫り等の工芸など、固有の文化を発展させてきました。
「ウポポイ(民族共生象徴空間)」は日本の貴重な文化でありながら存立の危機にあるアイヌ文化の復興・創造等の拠点となるナショナルセンターであり、我が国が将来に向けて、先住民族の尊厳を尊重し差別のない多様で豊かな文化を持つ活力ある社会を築いていくための象徴として整備され、7月12日に開業5周年を迎えます。


アイヌ民族文化財団
理事長 常本 照樹
イランカラプテ。私どもが運営しておりますアイヌ文化の復興と創造の拠点「ウポポイ」は、本年7月で開業5周年を迎えます。これまでの間、たくさんのお客様にご来場いただきました。イヤイライケレ!ウポポイは、これからもアイヌ文化の魅力に触れる多彩なプログラムを提供してまいりますので、ぜひお越しください。ウポポイにお越しいただいた皆さまが、アイヌ文化に触れていただくことを通じ、多様な文化を尊重し合い、共生する社会の大切さに思いを致していただければと願っています。
※イランカラプテ(アイヌ語でのあいさつの言葉)
※イヤイライケレ(アイヌ語での感謝の言葉)

「ウポポイ」の開業5周年おめでとうございます。ウポポイでは、5周年を記念するイベントや入場割引など多くの企画が準備されていますので、これを機に、たくさんの皆さまにご来場いただければと思います。また、道内には、ウポポイの他にも、アイヌ文化ゆかりの地域や施設が数多くあります。多くの皆さまに各地を訪れていただき、アイヌ民族の歴史や文化について知り、その豊かさや魅力を、ぜひ、感じてください。
ウポポイ5周年 ~アイヌの世界と出会う場所~
今年7月に開業から5周年を迎えるウポポイでは、園内のさまざまなプログラムや、国立アイヌ民族博物館での展示など、アイヌ文化の多彩な魅力に触れることができます。


- 入場料(ウポポイ1日券)
- 【大人】(一般)1,200円 【高校生】(一般)600円 【中学生以下】無料
【大人】(団体)960円(20名以上の場合) 【高校生】(団体)480円(20名以上の場合)
14時から来場される方は、割安な入場料(半額)でお楽しみいただけます。(団体割引は適用しません。他の割引との併用はできません。)
※有料の体験プログラムや博物館の特別展示の料金は含みません
- 交通アクセス
- 【高速道路】道央道 白老ICから車で約10分(有料駐車場あり)
【JR】白老駅北口から徒歩約10分
- お問い合わせ
- (公財)アイヌ民族文化財団(ウポポイ内)
TEL:0144-82-3914
その他詳細は公式ウェブサイトから:https://ainu-upopoy.jp/

「バーチャルウポポイ360」はこちらから:https://ainu-upopoy.jp/virtual360/
自然の中で培われてきた先住民族アイヌの文化を五感で感じることができる体験型フィールドミュージアムです。
1体験学習館(ヤイハノッカラ チセ)

教育旅行等の体験活動や、調理体験、弓矢体験(別館)などができる施設です。
2体験交流ホール(ウエカリ チセ)

国の重要無形民俗文化財に指定され、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている「アイヌ古式舞踊」などのアイヌの芸能を上演します。
3伝統的コタン(テエタ カネ アン コタン)

かやぶきのチセ(家屋)群が再現され、アイヌ民族の伝統的な生活空間を体感でき、暮らしや文化を学ぶプログラムもあります。
4工房(イカラ ウシ)

スタッフによる実演を見学できるほか、木彫、刺しゅう、楽器演奏の体験もできます。
5エントランス棟・歓迎の広場
(ホシキアン チセ・ウウェランカラプ ミンタラ)

アイヌ文化由来の創作料理や軽食、オリジナルスイーツが楽しめる飲食店があります。
先住民族アイヌの歴史と文化を主題とした日本初・日本最北の国立博物館です。
6基本展示室(イコロ トウンプ)

「ことば」「世界」「くらし」「歴史」「しごと」「交流」のテーマをアイヌ民族の視点で紹介しています。
6ミュージアムショップ(イコロマケンル イホク ウシ)

アイヌ民族の工芸品や博物館オリジナルグッズなどを購入できます。
6シアター(イノカヌカラ トウンプ)

高精細・大画面映像によりアイヌ文化を多様なテーマでわかりやすく学べます。
画像提供:(公財)アイヌ民族文化財団
interview アイヌ文化の魅力についてうかがいました

アイヌ文化伝承者
合同会社katak代表社員
関根 摩耶さん
アイヌ文化が深く根付いた平取町二風谷で生まれ育ち、ラジオパーソナリティーなどの幅広い活動を通じて、アイヌ語や文化を広めている。
ここ数年でアイヌ文化に対する認識が少しずつ変わってきていると感じています。「格好いい」「素敵だよね」と捉えて、学ぼうとしてくれたり、近づこうとしてくれる方も増えていて、そのことによって、アイヌ文化の魅力の伝え方も変わってきています。
アイヌ文化といえば、「自然との共生」「歌や踊りが素敵」「言語が特徴的」「文様がきれい」など、どれか1つに囚われた形で理解されることが多いのですが、私の中では、すべての要素はつながっていて、これらを掛け合わせることで、もっとストーリー性やワクワクする感情を与えることができるのではと考えています。これからも、アイヌ文化の本質的な魅力をいろいろな形で伝えていきたいです。
インタビュー動画もご覧ください
EXPO2025 大阪・関西万博にて
アイヌ舞踊の「ウレシパモシリ」が披露されました。
令和7年5月17日(土)、200名を超えるアイヌの踊り手が各地域に伝わる古式舞踊やメッセージ性のある舞踊プログラムを迫力ある映像や音響と共に披露しました。国内外の多くの来場者の皆さまに、アイヌの方々が歩んできた歴史や心情に寄り添い、理解を深めていただける機会となりました。


ウポポイ開業5周年記念イベント
ウポポイ祭2025開催
期間:7月12日・13日
アイヌ古式舞踊や江差追分の披露、チェプオハウ(魚の汁もの)やにしん三平汁の試食など、芸能や食を通じたコラボレーションイベントを開催
国立アイヌ民族博物館 5周年記念展示
前期:7月5日~8月31日、後期:9月13日~11月16日
第10回特別展示「開館5周年記念 ウィーン万国博覧会とアイヌ・コレクション」

頭巾 Staatliche Museen zu Berlin,Ethnologisches Museum/I A 4750
詳しくは国立アイヌ民族博物館ウェブサイトへ:https://nam.go.jp/exhibition/floor2/special/vienna2025/?utm_source=kohoshi-hokkaido202507
ウポポイ5周年にあわせて道では、次のイベントを実施します。
●アイヌ文化発信ミニイベント(道庁1階ロビー)
期間:7月10日・11日
内容:パネル展示・工芸品展示など
●アイヌ文化振興イベント(赤れんが庁舎)
期間:7月25日・26日
内容:アイヌ舞踊等披露、工芸品展示販売、アイヌ文化体験など
詳しくは道ウェブサイトへ:https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ass/223947.html

アイヌの方々は、自然の豊かな恵みを受けて独自の生活と文化を築き上げてきました。
アイヌの方々の習慣や文化を尊重し互いに思いやり、支え合いながら豊かで幸せな社会を築いていくことが大切です。
北海道は、アイヌの方々が民族としての誇りを持って生活ができ、その誇りが尊重される共生社会の実現に向けて取り組んでいます。皆さまのご理解をお願いします。
特集に関するお問い合わせ
道庁アイヌ政策課
TEL.011-206-6024