特集
津波から命を守るために
掲載号:2025年11月号

北海道は四方を海に囲まれており、これまでも多くの津波被害によって、尊い生命と貴重な財産が失われてきました。道では、東日本大震災の発生を踏まえ、最大クラスの地震が起きた際に想定される被害を公表するとともに、災害に強いまちづくりを進めています。災害はいつ起こるかわかりません。日頃から「まさかの事態」に備えましょう。

避難のポイント

津波から命を守るためには決して諦めないことが最も重要です。ただちに避難するなど、避難行動の違いにより、人的被害は減少します。日頃から備蓄品、避難場所や避難ルートの確認を行うなど、正しく恐れ、正しく災害に備えましょう。
北海道で最大クラスの地震が発生した際の地震・津波被害想定
道では、日本海溝・千島海溝沿い、日本海沿岸で最大クラスの地震・津波が発生した際に想定される具体的な被害を公表しています。
■日本海溝・千島海溝沿いの被害想定
最大死者数
約149,000人(日本海溝モデル)
約106,000人(千島海溝モデル)
※早期避難率が低く、「冬」「夕方」に地震が発生した場合
■日本海沿岸の被害想定
最大死者数
約7,500人
※早期避難率が低く、「冬」 「深夜」に地震が発生した場合
詳細はこちら:https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/ktk/bsb/223352.html

※想定される被害は、発生する断層や時期・時間帯などにより大きく異なります。
津波からの早期避難率を
さらに高めることにより
人的被害を減らせます!
日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定(令和4年公表)
早期避難率が低い場合と比較して、早期避難率が高く避難の呼びかけが効率的に行われ、津波避難ビルを活用することにより、死者数が大きく減少することが推計されています。

確認しよう!災害への備え
非常持出品や非常備蓄品のチェックリストを活用して不足しているものをご準備いただくとともに、お住まいの周辺地域の避難場所や危険なエリアを確認するなど、「まさか」に備えましょう。
■「家庭での備え」チェックリスト
非常持出品避難時に持ち出すもの
すぐに必要なもの
- 懐中電灯(できれば一人にひとつ)
- 予備の電池・携帯充電器
- 携帯ラジオ
※電灯とラジオと携帯電話の充電機能を備えたものも便利です。 - ヘルメット、防災頭巾(頭のサイズに合ったものを用意)
- マスク・軍手
- ホイッスル
- 緊急連絡先をまとめたノート
貴重品
- 現金(10円や100円硬貨を含む)
- 預金通帳と印鑑
- 健康保険証
- 運転免許証
- 住民票やマイナンバーカードなど身分証明になるもの
- 権利証書など財産を証明するもの など
生活用品
- 下着・上着・靴下などの衣類
- マスク・軍手の予備
- タオル
- ティッシュペーパー、ウェットティッシュ
- 紙の食器、紙コップ、割り箸
- ビニール袋
- ろうそく、ライター(マッチ)
- ラップ
- ナイフ、ハサミ、缶切り、栓抜き、ドライバーなど
※これらが一体化した十徳ナイフなども便利です。
食品・飲料水
- 乾パンや缶詰、アルファ米など火を使わずに食べられるもの
- 飲料水(ペットボトルで用意)
※乳幼児がいる場合は粉ミルクなども忘れずに。
応急医薬品
- ばんそうこう・消毒薬・傷薬・包帯など外傷用医療品
- 風邪薬、解熱剤・胃腸薬などの常備薬
- 病院から出されている薬と処方箋
- 家族に合わせて、子ども用の薬、持病の薬、生理用品やおむつなど
感染症対策
- マスク
- 上履き(スリッパなど)
- 消毒液
- 石けん・ハンドソープ
- 体温計
寒さから身を守る
- 長袖・長ズボン
- 雨具・長靴
- カイロ
- 防寒用ジャケット
- 手袋 など
非常備蓄品自宅や避難所での生活を支えるもの
食品
- レトルト食品、切り餅、ドライフーズ、インスタントラーメン
- あめ、チョコレート、せんべい
- 栄養補助食品 など
飲料水・生活用水
- 飲料水(ペットボトルで用意)
※1人1日3リットル×3日分が目安 - 生活用水
※プラスチックのタンクなどに入れて保存を。風呂の水を次の入浴まで残しておくと、突然の断水時に利用できます。
燃料
- カセットコンロまたは携帯コンロ
- 予備のガスボンベや固形燃料
生活用品
- 毛布・寝袋
- 簡易トイレ
- トイレットペーパー
- 洗面用具・ドライシャンプー
- 鍋
- バケツ
工具類
- スコップ、バール、のこぎりなど
- ロープ
- ビニールシート
- ガムテープ
※救助活動や割れた窓ガラスの応急処置用に準備しておきましょう。
寒さから身を守る
- ポータブルストーブ・灯油
※電気を必要としない暖房器具 - 湯たんぽ
- カイロ
チェックリストはウェブサイトでも確認できます:https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/ktk/98685.html
■津波ハザードマップのチェックポイント
- 自宅の標高や海からの距離と、自宅から避難場所へのルート
- 家族それぞれの職場や学校から避難場所へのルート
- 買い物や遊びに行くといった生活圏にある津波避難場所、津波避難ビルの場所

津波ハザードマップは各市役所、町村役場において作成・配布しているほか、道のウェブサイトからもアクセスできます
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/ktk/hzadomappu.html
津波警報などの種類
津波警報・注意報が発表されたら、海辺から離れ、より高い安全な場所へ避難しましょう。また、津波はくり返し襲ってくるので、津波警報・注意報が解除されるまで避難を続けてください。


道の取り組み
道では、津波被害の軽減に向けて、市町村と連携し、津波避難タワー・避難路・避難階段の整備などを進めています。また、道民の皆さんに災害に対する意識を高めていただくため、防災総合訓練や防災教育に関する情報提供、防災教育教材の作成などのさまざまな取り組みを行っています。
■津波避難施設などの整備
津波から「道民の命を守る」ために、市町村と連携して、積雪寒冷を考慮した津波避難施設、避難路の整備や海岸保全施設の耐震化・耐浪化などの災害に強い施設づくりを進めています。


■防災総合訓練
北海道、防災関係機関、関係市町村の協働により、災害時における応急対策活動能力の向上を図り、北海道の災害対応力を強化することを目的に、大規模な地震・津波災害を想定した防災総合訓練を実施しています。

(令和7年1月実施)
令和7年11月には、本道で15年ぶりとなる大規模津波防災総合訓練が釧路市などで行われます。
実施日時 | 11月2日(日)9:30~12:00(実動訓練) / 9:00~14:00(展示エリア) |
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開催場所 | 釧路市(メイン会場)、釧路町・厚岸町(サテライト会場) |
主催 | 国土交通省(北海道開発局)、北海道、釧路市、釧路町、厚岸町 |
参加機関 | 国、地方公共団体、公共機関 約100機関(参加者 約2,000人) |
内容 | 千島海溝沿いの地震による津波襲来を想定し、陸海空にわたる本番さながらの実動訓練を実施 |
■ほっかいどうの防災教育ポータルサイト
防災教育を推進する個人・企業などと連携・協働する組織である、「ほっかいどう防災教育協働ネットワーク」の取り組みや、防災教育に関する情報をポータルサイトに掲載しています。
詳細はこちら
https://kyouiku.bousai-hokkaido.jp/wordpress/network/
■避難所運営ゲーム(HUG)
北海道2025(愛称:Doはぐ)
道民の方々に避難所生活や避難所運営を自分事としてとらえ、地域の防災対策の課題を見つけやすくすることを目的として、真冬に電気などが使えない想定に沿って、250枚のカードで示されたさまざまな条件をグループで話し合って解決していく「防災教育カードゲーム」を作成しました。Doはぐの貸し出しは、お近くの振興局・総合振興局の危機対策室または道庁危機対策課までお申し込みください。

特集に関するお問い合わせ
道庁危機対策課
TEL.011-204-5007