特集1
デジタル関連産業の一大拠点を形成し、 くらし・経済が発展する北海道
掲載号:2025年10月号

デジタル関連産業の一大拠点を形成し、くらし・経済が発展する北海道
北海道は、国内随一の豊富な再生可能エネルギーや首都圏との同時被災リスクの低さなどから、次世代半導体製造拠点やデータセンターなどのデジタル関連産業の集積が進んでいます。担い手不足などのさまざまな課題がある中、AIなどのデジタル技術を活用し、省力化や地域課題の解決につなげることが重要です。道では、再エネを起点としたGX政策とAI-DX産業政策の一体的な取り組みを展開し、道民の皆さまの暮らしと経済の発展に向けて取り組んでいます。
GX(グリーントランスフォーメーション)
脱炭素社会への変革と経済成長を同時に実現させるための活動。
DX(デジタルトランスフォーメーション)
デジタル技術でビジネスや社会の仕組みを変革し、価値創出と競争力強化を図る取り組み。

北海道のポテンシャル
再生可能エネルギーの潜在力や地理的優位性など本道のポテンシャルを活かしたさまざまなデジタルインフラの整備が進んでいます。
松前沖・檜山沖の洋上風力発電
世界的に脱炭素化の流れが加速する中、洋上風力発電は再エネ主力電源化の切り札として期待され、北海道は導入に関して日本一のポテンシャルを有しています。令和7年7月、再エネ海域利用法に基づいて洋上風力発電所の整備を可能にする「促進区域」に松前沖と檜山沖が指定されました。

キーワード解説
促進区域:「促進区域」とは、自然的条件が適当であること、漁業や海運業等の先行利用に支障を及ぼさないこと等の要件に適合した一般海域内の区域のことで、国から指定されることにより、今後、地域や漁業との共存共栄を前提とする洋上風力発電事業の導入促進が図られます。
国際海底通信ケーブル【北極海、北米】
北海道は、東アジアの中で最も北米や欧州と地理的に近接しているため、近年、北米と北海道・東南アジアをつなぐルートや、欧州から北極海を経由して北海道や首都圏につながるルートなどの国際的な海底通信ケーブルの敷設について、民間事業者が検討を行っています。道では、国と連携し、それらの取り組みを支援することにより、北海道をアジアにおけるデジタル通信のハブにすることを目指しています。

デジタル関連産業の集積
ラピダス社の次世代半導体製造拠点や、インターネットなどのデジタルサービスを支えるインフラであるデータセンターの立地などにより、道内においてデジタル技術を活用できる環境が整いつつあります。
データセンター
現在、苫小牧市においてAIの開発にも活用されるアジア最大級のデータセンターが建設中であるなど、再生可能エネルギーの発電所に近いエリアへのデータセンターの立地が進んでいます。

キーワード解説
データセンター:デジタル技術の活用やデジタルサービスの提供に不可欠なコンピューターサーバーなどの設備を備え、データの処理や蓄積を行う施設。近年、生成AIの開発などのために大量のデータ処理と高速計算を可能にするAIデータセンターの建設が進んでいます。
次世代半導体
令和7年7月、ラピダス社は国内で初めて、2ナノ半導体のウエハの試作に成功し、令和9年の量産製造開始に向けて大きな一歩を踏み出しました。

デジタル技術の活用による地域課題の解決
北海道の有する多様なフィールドで行う実証実験や研究開発の取り組みを進め、AIをはじめとしたデジタル技術を活用した地域課題の解決に向けて取り組んでいます。
乳牛の健康状態の自動管理
乳牛の状態をリアルタイムに収集し、AIが個体ごとの行動や体調の違いを学習・解析。発情や分娩の兆候、活動量の変化などを検知し、酪農家がすぐに適切な作業やケアを行えるよう支援します。蓄積されたデータを分析することで、飼養管理の精度と効率が大幅に向上します。

除雪作業の自動化
除雪機械オペレータの担い手不足や熟練技術の継承のため、除雪現場の省力化による生産性・安全性の向上に資する取り組み「i-Snow」にて、高精度の衛星測位情報により自車位置を把握し、作業装置操作を自動化することで除雪作業の高度化を進めています。

AIオンデマンド交通の普及
スマートフォンや電話で予約を受け付け、AIがリアルタイムに最適なルートを計算し、車両を配車するシステムで、利用者のニーズに合わせて、柔軟に運行ルートを調整します。高齢者の移動支援や公共交通の補完に加え、環境負荷の低減にも貢献します。

危険物混入をAIで検知
ごみ処理施設において、AIが廃棄物中の電池やスプレー缶などの危険物を自動検出し、画面上にアラートを表示。発火・爆発のリスクを未然に防ぎ、安全操業と業務効率化に貢献します。異物の選別精度が向上し、作業負担の軽減にもつながっています。

デ
ジ
タ
ル
人
材
の
育
成
北海道では、デジタル関連産業の振興や発展を支える人材を育成するため、学生向けの普及啓発・情報発信や、社会人や離職・転職者を対象としたデジタル技術を身につける職業訓練などに取り組んでいます。
取組1
半導体の理解促進に向けた出前講座・体験教室
大学や高専、半導体関連の企業と連携し、高校生向けの出前講座や小中学生向けの体験教室を実施しています。理系分野への関心や学習意欲の向上に向け、高校生向けには半導体に関する専門的な授業や、半導体に関連する仕事をロールモデルとして紹介するなどの講座を実施しています。また、小中学生向けには半導体を使った実験などの体験教室を実施しているほか、科学館や商業施設などでの体験イベントも予定しています。

(道内4高専と道の連携)
取組2
HOKKAIDO Tech Academia
-北海道半導体人材育成ポータルサイト-開設
高校生等に向けて、半導体人材の育成に関する情報を発信するため、新たにポータルサイトを開設しました。半導体関連企業に勤める先輩社員インタビューや、半導体オンライン講座など、半導体をわかりやすく解説しています。
主なコンテンツ紹介
「北海道のキーパーソンが語る北海道の未来」


HOKKAIDO Tech Academiaウェブサイトはこちらから:https://hokkaido-tech-academia.jp
取組3
デジタル技術の職業訓練
社会人や離職・転職者を対象に、デジタル技術が身につけられる職業訓練を実施しています。WEBエンジニア科やJavaプログラミング科など4~5カ月間しっかり学んで資格取得を目指すコースのほか、社会人向けにドローン活用やRPA(定型的な事務作業の自動化)活用科など2~6日間のコースもあります。デジタル関連産業を目指す方は、ぜひ受講ください。
※求職中の方は、訓練期間中、失業給付金が延長される場合があります。

職業訓練の案内ページはこちらから:https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/jzi/kidou_hoka.html
GX関連産業の集積に向けた全国トップレベルの支援制度
規制緩和+GX推進税制+企業立地補助金の3本柱を中心に支援を強化
北海道は、再エネ等のポテンシャルを活かし、令和6年6月、全国で唯一GXに特化した金融・資産運用特区に決定されました。令和7年4月より、再エネ電源、データセンター、次世代半導体等のGX関連産業の立地インセンティブ(税制優遇+補助金)を強化しています。

特集1に関するお問い合わせ
道庁経済企画課
TEL.011-204-5309